なぜ二郎系ラーメンに惹かれるのか
大量の麺と野菜に支配され、スープの味など気にする余裕もなく箸をどんどん進めていく。
食べているときは、とにかく麺をすすり、野菜を食らうことに無我夢中になっている。
そして、食べ終えると、「食べきった」という達成感に満たされる。
しかし、数分経って振り返ると、ラーメンの味についてはほとんど記憶に残っていないと悟る。
味の記憶がほとんど残らないのに、俺はなぜ二郎系ラーメンに惹かれてしまうのだろうか。
それは、他の系統のラーメン店にないような体験ができるからだと俺は思っている。
ラーメンを出された瞬間に、大量の麺とその上に乗せられた山のような野菜に視覚を奪われる。
箸とれんげを手に、いざ麺をすすろうと思っても、山のような野菜が妨害してくる。
野菜をなんとかかぎ分け、ついに麺をすするフェーズに入るが、すすってもすすっても中々スープが顔を出さない。
「麺と野菜ばかりで、飽きてこない?」と言わんばかりに、脂と肉厚で満たされたチャーシューが視界に入ってくる。
すかさず、そのチャーシューに食らいつくが、こいつも中々大敵だ。
一口では食べつくせず、何度も嚙みちぎってやっと食べつくせる。
チャーシューという大敵を倒し、ついにラストスパートにかかる。
一気にラーメンを全て吸い上げ、試合終了。
この一連の戦いをするために俺は二郎系ラーメンに惹かれるのだろう。